2014年12月10日

In Taiwan 職業体験は人生を左右する

Filed under: 体験付き修学旅行,従業員の話 — 管理人 @ 9:38 PM

 

 皆さんは、農業についてどんなイメージを持っていますか。

私は今年の夏休みに、北海道の鹿追町で、二ヶ月の農業実習に参加しました。実は、実習への参加は北海道へ行く手段でした。それまでは農業は、おじさん、おばさんたちの仕事というイメージで、自分が畑で働くことなど、考えたこともありませんでした。

 その農場では、経営者である「お父さん」「おかあさん」以外に、9名の若者が働いていました。ワーキングホリデーでの台湾人2名と香港人1名、そして農業を志す日本人の若者6名です。

農場での二ヶ月間で、私たちがした仕事は、キャベツを植えること、青汁の原料となるケールという野菜の収穫、ジャガイモの収穫小豆の畑やビートの畑の雑草取りなどです。

北海道に行く前に、母が「農業はすごく大変だよ、ほんとうに大丈夫なの」と何度も聞いて、私はそのたびに「大丈夫だよ」と軽く答えていましたが、実際に畑に立って「全然大丈夫じゃない」と心の中で叫んでいました。ゴールが見えないほど広い畑、四方八方、緑ばかりで、どこまでやるのか、いつまで続くのかわからず、精神的にも肉体的にも辛い作業でした。

でも、いっしょに仕事をしている、私よりちょっとお姉さんの日本人は、まるで仕事を楽しんでいるように、ニコニコしながら、草取りをしていました。

彼女は三重県の出身で、大阪の教育大学を卒業し、北海道に来て、農場の従業員になったそうです。どうして若い女の子が畑で働きたいと思ったのか、初日から、ずっと疑問に思っていたので、思い切って聞いてみました。彼女は「農業の魅力かな。」と答えてくれましたが、そのときは、私はその答えに戸惑うだけでした。

 彼女だけでなく、農場の日本人従業員は、みんな、ここで働くことを自分で決めて来たそうです。どうして自分から農業という、こんなに大変な仕事をしたいと考えるのか不思議でした。

 私たちの二ヶ月の実習期間の最後の仕事が終わったとき、日本人のお姉さんが言った一言が、今でも忘れられません。「見て、雑草がない畑きれいでしょう。達成感感じた?」そのとき、私はようやく農業の魅力がわかったような気がしました。仕事の達成感、仲間といっしょにがんばったこと、見上げるだけで疲れが吹き飛ぶ青空、収穫の喜び、そのすべてが、彼女が言った農業の魅力です。

 

どんな仕事もやってみないと、その魅力はわかりません。私が将来、農業の仕事につく可能性は、いまのところ高くはありませんが、この農場で学んだ二か月間の経験を自信に変えて、いつか、その魅力を人に伝えられるような仕事に出会いたいと考えています。

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今年、7月〜8月にかけての2ヶ月間、国立屏東大学(応用日本語学科)の学生3人が職業体験を我農場で行った。その中の一人が、職業体験を題材にして日本語スピーチの全国大会に出場した。

全国から選抜された20名によって決勝戦が行われ、その時に発表した原稿である。本人の了解を得て掲載します。

村瀬ファームに来る若者たちのほとんどが農業経験がない、初めての農作業を体験する。最初は戸惑いがあるが、やがて慣れると積極的に自ら進んで作業を行うようになる。やらないと周りから目立つ存在になり、自然と身体が動くようになってくる。原稿にもあるように慣れてくると笑顔にもなれば余裕のある顔つきにもなってくる。

特に今年から参加の三重出身のKさんは、誇りを持って農作業に打ち込む姿勢に対して、大学生が共鳴したことが書かれている。私から見ていても意気込みが違うのが解る。何事にも探究心を維持して農業についての魅力を探り、その魅力を他人に伝えていく。農作業は大変だが仕事が終わった時の達成感と満足感を日々の活力に変えて、農業の営みを継続する意欲を湧き出させる。彼女にはやがて素晴らしい人生が待っていると思う。北海道農業の地位向上に一役買っていることになる。

Kさん曰く、『一般的に農業の社会的地位は低く見られている!』と言うが『私達、農業経営者の責任であって、私達自ら改革していかなければならない事柄である』異業種の経営者などとの交流で視野を広める必要があると認識している。我々の年代は農業関係者だけの付き合いが多いように感ずる。それでは固い卵の殻を破ることはできないのではないか。このグローバルな時代に直面しても気づかない農業関係者が居るのも事実である。TPPは来年締結するというのに・・・。

 

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