2016年1月26日

富良野GROUP『屋根』30日幕別町公演

Filed under: 農場生活について — 管理人 @ 12:31 PM

top2016c脚本家倉本聰さんが率いる劇団・富良野GROUPが今年も十勝・幕別町にやってくる。地元帯広出身者と鹿追での生活体験がある(共に松本さん)がキャストをつとめる。松本さんのご両親が農場の隣に住んでいる関係から、昨年初めて富良野GROUPの公演を幕別で観劇(感激)した。

劇のあらすじは開拓から太平洋戦争前後の農家を舞台にしているそうである。戦後、北海道の農業はアメリカ型、ヨーロッパ型の農業を取り入れ大型化してきた。近年は数億円の資金を投入して酪農、畜産施設を建設し、300頭〜1000頭搾乳を可能にした大規模なメガファームが誕生している。まるで工場で生産されているようである。畑作では大量の農薬、化学肥料を投入し、農作物を生産する経営形態には、消費者を含めて考えなおす時期が来ていると考える。もうすでに十勝の農業はヨーロッパの経営規模に匹敵しているだろうが、本来の農業の姿はどこかに忘れ去られたような気がする。こんなことを踏まえて『屋根』の上演を楽しみにしている毎日である。

私が中学生まで『ポポ』と言う名前の道産子の馬を飼育していた。彼女は畑起こしから除草機、収穫などの農作業を近代的なトラクターが登場するまで、農場に貢献した道産子の馬である。昭和30年代にジープやトラクターが出現して彼女たちの役目は終焉を迎えた。それまでどこの農家も住宅と馬小屋が同じ『屋根』の下にあり、家族同然の生活を送っていた。

小学生の頃、彼女の子供だと思うが『2頭も馬は必要ない!』と売られていったことを思い出した。馬の目は可愛らしい優しい眼差しをしている。『ポポ』はもう年老いたおばさんで、背中を丸めて優しい目から涙を流して見送ったように見えた。牛馬の取引をする『馬喰郎さん』(家畜商)が来ると、ポポも売られることを察知して落ち着かなかった。経済観念もない私達は何としても売却を断念して欲しかったが、抵抗するすべがなかった。この時ほど馬喰ろうさんが憎く感じたことはなかった。

ポポの鼻筋を撫でるのが楽しみで馬小屋に行った。今もポポの暖かい温もりのある鼻は忘れられない。ポポもやがて知らない間に消えていて、両親に行方を聞いても教えてもらえなかった。優しくしてもらった飼い主には、死ぬ間際に最後の挨拶に来ると聞いたことがある。それは何キロも離れたところからも来るそうである。それは馬にかぎらず、魂のある動物(犬、猫等)なら経験はあるのでありうる話である。

時代は繰り返すというが、近い将来、馬で農業をすることになるだろうか・・・。中学校の時(S45年頃)、大雪で車が使用できずポポが引く馬橇で5キロ離れた瓜幕中学校に通った事があった。いっその事、せめてもの抵抗で馬ソリを観光客に開放でもしようかと考えている。子供でも2本の手綱を操ることができ楽しかったことを思い出す。このことをカミさんに話したら『フン!』と嘲笑されたのだった。『誰が馬の世話するの!』ごもっともです。はい・・・・・

現在、行者にんにくを従業員が屈んで収穫作業をしてる。立ち上がり背中を丸めて歩く姿が『ポポ』に似ているとふと思った。失礼だが彼女はポポの生まれ変わりかもしれないと感じた・・・。

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